父が指定難病である前頭側頭葉変性症(認知症の一種)に罹っていると聞かされてから、目の回るような一年と三ヶ月。
先日父の介護施設入居に際し、車を走らせました。
いつも「若くみられる」「モテる」と豪語していた父、65歳。
介護施設に入るには早すぎますよね。
20歳も下の彼女が居て、施設に入るとなれば結婚やら遺贈の話なんかもフタせずコンロにかけたポップコーンみたいに噴出して大変だった。
生涯現役なのは良いが金回りはちゃんとしてほしいもんだ。
と同時に、改めて自分の飯代くらい自分で稼いでいきたいなって思いました。
今の父の状態
恐らく5分程度言葉を交わすだけでは、父が認知症を患っている事自体気付かれないんじゃないかな。
現状話しかけられた内容に対して、正しく返答をする程度の事は問題なく出来ている。
でも施設入居の日はやっぱり記憶の欠如が著しいなって感じさせられました。
父が施設に入る事が決まり、彼女との結婚の話が何度となく出てきた。
でも「施設に入るのをやめて結婚する(＝面倒をみてもらう)」ならわかるが、「施設に入ります、その上結婚します」は意味不明じゃないすか。
だから「施設に入るんだよ」「一緒に居られないんだよ」という事を父に説いたが、言葉少なに「うん」「結婚します」とか言うばかり。
そんなやりとりから施設に入る事はなんとなくは認識できているんだと思ってた。
施設入居の日を迎え、姉と2人契約書類の記名押印、利用権のくせに めっちゃ枚数あった。
無事契約を終え父の部屋を訪れる。
美味しそうな定食に箸をすすめる父を見て、今後食も安全面も心配しないで良い事に安堵。
施設入居を推した罪悪感がちょっと軽減しました。
なお父が入居した施設はリハビリテーションの充実を謳っている施設で、前払⾦1,200万円、月々の費用25万円弱。
前払金半額のキャンペーンをやってたものの、入居だけで600万ドーン。
(前払金の額は年齢によって変わります。父は…まだ若いからね。)
これでもう安心、とはいかず。
つい最近にも広島のサンフェニックスが民事再生法の適用を申請をしたって記事出てましたね。
運営企業が倒れて譲渡もされずにほっぽり出されるケースをも想定しておかなきゃなって思いました。
公的に運営されている前払金なし、月々の費用10万円前後の介護保険施設もあるけども、どこもかしこも空き待ちが長蛇の列の超満員らしい。
想像以上に早く来る可能性もある「老後」に、自身もちゃんと備えなきゃなって若干怯える。
とりとめのない会話を暫くした後、父に「じゃあ行くね」と告げて父の部屋を出ようとした所。
父、鞄を手に取る。
心が痛えよ。
親を施設に入れる申し訳なさを噛み殺しに噛み殺して
「さっきPCR検査受けたから検査結果出るまでお部屋に居てね」
と伝えると
「そうか」
と父。
安堵してじゃあ私達は行くねーと言うと
父、 「一緒に帰る」
数分前のやりとりも覚えてられないって、わかってはいたけど凄くリアルに感じた。
再度「さっき検査受けたから結果出るまでここで待機しててねー」と伝えながら逃げるように部屋を出た。
隣に居た姉、渋い顔してて、きっと私も同じような表情をしてるんだろうなって思いました。
お金がらみのノイズがうるさすぎてあまり意識しきれてなかったけど、ヨボヨボでもない親を施設に入れるってのはやっぱ気持ち濁りますね。
「施設に入るって、わかってる?」と度々尋ねて「うん」と言っていた父が、施設に入るって事をちゃんと理解できていなくて、施設に入ってもらうまでその事にすら気付けなかった。
前頭側頭葉変性症は本当に恐ろしいなって思いました。
前頭側頭葉変性症の状態考察
前頭側頭葉変性症関係の問題を抱えている人には滅茶苦茶怒られるかもしれない。
けど、認知症がどういう状態なのかって私なりに考えてね、酔っ払ってる時や麻酔かかってる時なんかの、脳の働きが悪くなった状態が自分の経験の中だと近いんじゃないかと思って。
特に父のケース、前頭側頭葉変性症は脳が萎縮して機能しなくなる病気だから。
麻酔は何度やっても慣れませんね。
浅い意識の中、体が宙に浮いて移動しているような感覚。
音だけが鮮明で、聞こえてくる言葉になんとか正常な反応をしようとしてるの。
自分がそんなだから、認知症が進行しても応答だけはしっかりしてる父を見ると、なんとか「ちゃんとしてなきゃ」ってしてるのかなって考えちゃう。
お酒ってのは判断や抑止を司る前頭葉と、記憶を留める海馬、それぞれの働きを悪くするっていうじゃないですか。
前頭側頭葉変性症は脳の萎縮によりその人本来の行動や判断ができなくなる病気で、「人格が変わったよう」とよく表現されるけども、ごめんなさい、たまに酔った自分と重ねて「こんな感じかな」って思ってる。
ええ。たまにタガはずれちゃうんです。
酔ってした後悔、数知れず。
困った事にちゃんと記憶残ってるんですよね。
なんなら海馬もちゃんと酒に溺れてほしい。
アルコール依存症のような日々を送ってしまうと脳の萎縮が進行するってな研究もあるそうな。
父を見ていてこんな事を言うのは非情が過ぎるかもしれないけども、 もしも自分が若年性認知症になったらと思うとゾッとする。
できるだけ健康的な食に、程良い飲酒。
あと楽しいって思える事いっぱいする。
そんな感じで 来年から頑張ります。
なお今期私は1月2日まで働く事にしたので日本の年明けは1月3日になりました。
皆さん1月2日の夜は蕎麦を食べましょう。
良いお年をお迎えください。
