美大を出ながら普通の企業で制作職以外の職に就き、自身で生計を立てながらも「もったいないね」と言われる。
なんとなく制作プライドは持ち続け細々物作りに励むも周囲に理解者皆無、「いい大人が」「そんな事だから」。
そんな「美大卒」の一人歩きに苦しむ全ての人に送る、美大あるあるレクイエム。
ビジネスの場で5美大出身者に会うと急に距離縮まる
大抵「何専攻でした?」から掘り下げに入るけど実はお互いそんなに興味ない。
デザイン系と絵画系の垣根は高く、共通の話題があまりない。
それでも外の世界で5美大出身者に会うと謎のシンパシーを感じちゃうんです。
「やりたい事やって良いよ」って課題でやりたい事が無かった
多分「やりたい事」が明確な人は、金銭的課題の解決方法にフルタイムワークを選ばない。
美大生は「やりたい事思っきしやれ」っていう課題を在学中一度は出された事があると思うんだけど、私は「どうしてもやりたい事」とか「表現したい世界」とかなかったから非常に困ってた。
当時一番したかったのが「俺TSUEEEEEE」で、美大に入ってみたら「周りSUGEEEEEE」だったから無理ゲーぶりに萎えてたんだと思う。
自分に課す課題は「ギリギリ達成が可能」なレベルにしないとね。
部室が美大ライフの全て
授業は詰め込まずアトリエで制作に励むのが一般的な美大生スタイル。
でも中途半端な根暗にとっては数人の同級生と個室で日がな一日無言制作をするのは苦痛なんです。
割と真剣にブースパーテーションの設置を要求する。
そんな美大生にとって心地の良い場所。
部室。
私は軽音系の部活に所属しながらロクにバンドもやらず部室でただ人とお喋りする日々を送ってました。
教室棟の前に喫煙所あるし授業受けに行くスタイル(受けるとは言ってない)
今は知らないけど、自身が在学してた頃は教室棟の出入口にはベンチと灰皿があり、授業前後は大体そこに人が集まっていました。
珍しくやる気を出して教室棟に向かうと
「おいっすー」
結果3割くらいの確率で授業に行き損ねる。
美大(私立)の学費は1日1万程度、今考えると本当に殴ってやりたいです。
美大の響きほど何かができる訳じゃない
社内で出身大学がいつの間にか広まる。
あまり話した事ない人から
「美大出身なんでしょ」「絵上手いの?」
って尋ねられる。
「絵が上手い」は上見たらキリがないし、そもそもの指標が曖昧なので「はい」とも「いいえ」とも言い難いんです。
制作部署を置いていないような会社だと美大出身は珍しい生物みたいな扱いだけど、声を大にして言いたい。
「我ながら残念ですが大した事できません」
でも美大行ってよかった
これまで「子供が美大行きたいって言うんだけどどうかな」って質問を何回か受けた事がありまして。
自分の行いを考えると心底「オススメできない」って思うんです。
美大は学科にもよるけど、ほとんどの場合卒業のための単位を取る分にはそんな厳しくはない。
時間にゆとりがあって、学内で制作できて、プロに質問できる。
ちゃんと目的意識持って励める子なら最高の環境だと思う。
けどね。
私を含めゆとりがあると逃げちゃう人、世の中いっぱい居てね。
私は期限や課題に追われる日々の方が合ってるから、在学経験の必要な資格をとる目的を持って大学に行きたかったなって今は思う。
特に自身の居た絵画学科は「絵で食べていく」っていう漠然とした、かつ実現困難な目的が全体意識としてあったから、尚更どこに向かえば良いのか全然わからなかった。
あとね、世の中の美大生のイメージ。
「美大って変わってる人多いよね」
概ね同意だがこれ言って良いのは美大出身者だけだからなー!!
とは思えど、うん、社会に出てからも何度か言われましたね。
ただ良かったなって思う面もあって。
とにかく食べてけるようにならなきゃいけないって思ってもがいてたらPCあればお仕事完結できるようになった。
なんだかんだ言っても「すげえなちくしょう」って思う人々に囲まれて過ごした4年間、刺激は受けてたんだろうなって。
私は今更「自分のできる事」と向き合おうとしてる訳だけど、20歳そこらで輝いてた同級生の顔が浮かんで原動力になる。
10年経っても相変わらず「ちくしょう」って思ってるよ、ありがとう。
最近やってる事やりたい事が増えすぎて、逆に時間を上手に使えてない感あるんだけど、「頑張らなきゃ」って思わない位には頑張れてる。
困ったなー、年齢的にはだいぶ良い大人なんですけどね。
私はまだまだまだまだ、自分の時間がほしいなあ。